腫瘍摘出手術〜第1回目 ソフィのお腹にできた腫瘍を取るために、午後7時に始まった手術は午後9時にはもう終わっていた。開腹はしたものの摘出が不可能なため、何も出来ずに縫合することになった。「ソフィはどうなるんですか?」「残念ですが、ソフィちゃんは助かりません」。執刀した先生からこう宣告された。頭の中が真っ白になって、しばらく何も喋れなかった。ただ涙が止まらなかった。何とか助かる方法は?少しでも延命できる方法は?泣きながら先生に相談した。「最新の設備が整っていて、スタッフも揃ったところなら摘出できるかも知れない。しかし、手術の危険度も高く、癒着・転移などで摘出できないこともあり、かなりハイリスクな選択になります」。
決断 「ハイリスクな、成功するかどうか分からない手術をしてソフィを辛い目に遭わせたくない」「手術をせずに残された時間を、ソフィに好きなことさせて一緒に過ごそう」「ソフィの生命力を信じて手術を受けさせよう」…、本当に悩みに悩みました。でも、迷っていても時間は待ってくれません。「手術を受けて悪いモノをぜーんぶ取ってもらおう。ソフィ、頑張るぞ〜〜〜!」ソフィの生命力に賭けることにしました。
車で2時間、病院へ行く。 先生に紹介してもらった病院に、今までの資料を持って行く。今までの経緯は、先日執刀してもらった先生から説明してもらっていたから、エコーや血液検査の後、スケジュールを調整してもらう。手術は8日の日曜日夜に決まった。
腫瘍摘出手術〜第2回目 朝10時から、血漿輸血と体力をつけるために手術の時間まで点滴。ソフィの左手には静脈に滞留針が入れてある。今日の手術が分かっているのか、ソフィも少しおとなしい。病室は、6畳ほどの広さの部屋に犬舎と流しが付いている。とても清潔。ソフィは犬舎に入れずフロアにマットレスを敷いて寝かせて、私は横に添い寝する。術前の説明で、手術はお腹の正中線を人間でいうミゾオチから後ろ足の付け根辺りまでとミゾオチから左脇腹へV字形に大きく開腹する。脾臓の新成物(がん)は切除できるが、肝臓や胃に転移している分については、切除が難しくそのまま閉じることになる。午後11時、麻酔の前投薬が効いてきて、ソフィが手術室に運ばれる。不安で胸が張り裂けそう。「がんばれソフィ!みんながついてるよ!!」。お守りを2つ持ってきた。今までお守りなんて買ったことなかったのに…。
手術成功! 時計は、午前1時をまわっている。4日の手術では、開始後1時間半ほどで手術室に呼ばれて「手術不可能」の宣告を受けた。だから、今度もそれがいちばん恐かった。始まって2時間、まだ手術が続いているようだ。摘出できるかも知れない…不安ながらも大きな希望が湧いてきた。少しだけほっとする。午前3時半、副院長先生が腫瘍を摘出できたことを知らせに来てくれた。これから縫合するとのこと。「やった〜〜〜♪」午前5時、手術室に呼ばれた。マズルには酸素マスクを被せられ、横の大きなデジタル画面には心拍数やグラフが表示されてピッピッピと鳴っている。ソフィは全身をベージュのタイツ(はらまき?)みたいなものでくるまれている。「よくがんばったね、ソフィ.............」うれしかった…。院長先生からの説明があった。脾臓を全摘出。脾臓は原形をとどめておらず、癒着もあり、困難な手術だった。脾臓を取ったことで、かなりの血液が失われており、「これから貧血との戦いです。まだまだ坂の途中、容態が急変することもあり術後3日間が峠です」。また、感染症にも罹りやすくなっているとのことだった。心配していた肝臓や胃への転移が無く、本当によかった。ただ、リンパへの転移はあるようだけど、できる限りの予防をして再発をくい止めればいいんだ、がんばるぞ。しばらくして、病室へ戻ってきた。ソフィは、犬舎に入れずフロアにマットを敷いて寝かせることにする。私は、ソフィの横で添い寝をしながら看病することにした。午前6時頃から、麻酔が切れてきたのか「ヒィーー、ヒィーー」と小さなかすれた声で鳴きだした。よっぽど痛いんだろう、可哀想で聞いていられなかった。先生に連絡し、鎮痛剤を注射してもらったら静かに寝息を立てるようになった。
経過も順調! 6月11日(手術後3日目)頃から、食欲も元に戻ってゴハンの時間が待ち遠しくなっている。1日じゅう点滴をしてるから、元気になって動くようになってくると点滴の針やチューブが外れそうになる。ますます目が離せなくなって、私の睡眠時間もますます少なくなってきた。ソフィが寝てるのを見計らって仮眠するのだけど、すぐに起こされたりゴソゴソし出すから30分以上続けて寝せてくれない。
退院してからの方が大変だぁ! 退院して今日で5日目。かかりつけの病院に、消毒と付け替えに毎日通っている。退院したら、看病も少しは楽になるだろうと思っていたけど、大間違いだった。70%くらい復活したソフィは、ウロウロするし傷口を舐めようとするし、ボールを探してきて遊ぼうとするし…、ますます目が離せなくなっている。昨日は、縫合した糸を引っ張ってたみたいで先生におこられた。「ここの糸は、大切な糸だから絶対に舐めたり引っ張ったりさせないでください」。やっぱり、目を離すときはエリザベス・カラーを使おう。ソフィは、どんな服やかぶり物でも平気なんだけど、エリザベス・カラーを着けたら固まっちゃって急におとなしくなる。かわいそうだからTシャツを改造して、ソフィのボディスーツを作った。****ソフィの毎日の食事療法食かんづめ1/2缶(グロースタイプ)レバー&スープ鶏ムネ肉ドッグフード1/2カップ(胃に負担をかけないもの)ほうれん草水煮赤血球を増やすことと、病後の回復を早めるようにカロリーを少し多めにしている。おやつは、プレーン・ヨーグルト。これは、病中病後の人間にもとてもいいらしい。
台風が来てるぞ 台風が直撃している。風もだんだん強くなってきた。雨の日は散歩もたいへん。ボディスーツを脱がせてカッパを着せてお腹が濡れないようにビニールシートを巻き付けて…、ふぅ。。 先生の話では、レトリバー系は脾臓原発のガンが他の犬種に比べて多いらしい。ソフィの場合、2年前くらいから体力が落ちて少し疲れやすくなってきていた。年齢のせいかなとも思ってたんだけど。ソフィは、もともとそんなに体が強い子じゃなかったんで、ほぼ毎月何かの理由で病院へ通っていた。去年の初夏頃からか、血液検査で赤血球の数値が低くなってきたんで「体の中に出血しているとこがあるのかもしれない」と、エコーを撮ったりホルモンを調べたりといろんな検査をしてもらった。でも、何度検査をしても何も見つからないため、貧血を改善するための対症療法として増血剤などの投与を続けてきた。犬猫の場合、早期発見はなかなか難しいらしい。自分が病んでいるのを知られたくないのかも知れない。病状が進んで急にパタッっと倒れて病院へ運ばれるケースがいちばん多いと聞いた。先生の話だと、肝臓や腎臓など他の臓器に異常がなく、ただ貧血気味の場合は脾臓ガンの可能性も考慮に入れる必要があるとのことだった。
少しだけ抜糸ができた 9日ぶりに、手術してもらった病院へ行く。道中、ソフィは車の中で落ち着かない、何の用事か分かってるんだろう。病院に着いたら、入院中ずっと一緒だったゴールデンのエルちゃんがいた。エルちゃんは、肝臓の感染症でソフィが手術した翌日に手術をし、見事成功して今日は見違えるほど元気になっている。今日退院できるからエルママさんもエルパパさんも嬉しそう。ソフィは入院中ずっと、食欲のないエルちゃんが食べきれないゴハンをいつもおねだりしてもらっていた…いつも2人分の食事をしていたのだ。お世話になりました。診察の結果、経過は順調。部分的に抜糸もした。腹部に漿液が溜まっていたので注射器で抜いてもらった。まだ、腫れは残っているが傷口も塞がっているし、明日からは通院せずに家で消毒と薬を塗るだけでいいとのことだった。病理検査の結果が届いていた。所見をかいつまんで言うと「強い壊死と炎症を主体としており、腫瘤の本体は不明であった」。後々のために役に立つかな。。人間と違って、保険がないから治療費もバカにならない。血漿輸血だけでも1回で4万円近くかかってしまう。でも今回感じたのが、外科的治療の方が内科的治療よりもまだ負担が少なくて済むということ。去年の夏の治療費の方が、今度の手術費より負担が大きかったと思う。時間が出来たらちゃんと計算してみよう。去年のクリスマスに、ソフィパパの弟の子(姪)が生後3ヶ月で心臓手術をした時の費用が380万円だった。今年の元旦にソフィパパのお母さんが心筋梗塞〜心不全で倒れて、心臓にペースメーカーを埋め込んだ。その時の請求額が350万円だった。でも、実際に支払った費用は義母が約10万円、姪っ子は3千円だった…生後1年未満の新生児の治療費はすべて国や自治体が負担するらしい。やっぱり、信頼できる役に立つペット保険って絶対に必要だと思う。治療費以外でもいろいろと出費がかさんでしまうんだから。
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